マンガ・ギリシャ神話 激情の王女メデイア

マンガ ギリシア神話〈6〉激情の王女メデイア (中公文庫)

マンガ ギリシア神話〈6〉激情の王女メデイア (中公文庫)

怖い…怖いよママン。タイトルにもなっている女性メデイア。

前巻のヘラクレスがあまりにも快活で爽快感溢れる冒険をしてくれたその直後にこれですよ… 。もうそのギャップに打ちのめされます。しかし、彼女のような重い女性が現実に存在するのがまた更に怖いところ… 。恋は盲目と申しますが、恋する自分に酔いしれてしまうと、彼女のようになってしまうのでしょう… 。好きな男のためにはなんでもするという情熱は美しいものではありますが、度を過ぎれば只の恐怖でしかありません。彼女の重さに打ちひしがれるイアソンの気持ちもわかります。これはツラい(苦笑)

とは言え、メデイアも不幸ですね。女の業のすべてを押し付けられて、魔女として描かれるのはたまったものではありません。凄腕のハッカーが自由を愛するためにやりすぎて歯車が狂っていく構図に似ていますね。圧倒的な知識は何かと黒魔術にされてしまうようです。ちなみにメデイアを連れ帰ったイアソンが率いた船アルゴーは往年の名機mzシリーズのシンボルマークとして採用されています。どうでもいい知識ですが、ごく一部のおっさんには思い入れがあるかもしれませんね。

今回の豆知識は太陽に向かって飛ぶイカロスです。「イカロス」の名前は知っていましたが詳しいエピソードは知りませんでした。彼の父は天下の名工ダイダロスミノタウロスが閉じこめられたクレタ島の迷宮は彼の手によるものです。ダイダロスは王の命令で脱出不能の迷宮を建造しました。王子ミノタウロスを幽閉するためです。しかし王子は殺害された上に殺人犯に脱出されてしまったので、「詐欺の罪」で自身が作った迷宮に息子のイカロスとともに閉じ込められます。そこでダイダロスは迷宮の中で手に入る材料(羽毛と蜂蜜)を使って翼を作り、それを背中につけて舞い上がり、遥か頭上に開いた窓から脱出したのです。「この翼は蜂蜜で接着されているので、太陽に近づきすぎると熱で溶けてバラバラになる」若きイカロスはダイダロスからこのような注意を受けていたにもかかわらず、自由に空を羽ばたく楽しさに酔いしれ高く高く舞い上がり、やがて墜落して死んでしまいます。うん、やはり墜落してこそ鳥人間。そうそう、タロス(いわゆる巨大ロボ) はダイダロスのプロダクト。某シュミレーションゲームでシャレにならない強さで恐れられたユニットですが、神話上ではアキレス腱に弱点があり、あっさりとメデイアに倒されてしまっています。

マンガ・ギリシャ神話 英雄ヘラクレス

マンガ ギリシア神話〈5〉英雄ヘラクレス (中公文庫)

マンガ ギリシア神話〈5〉英雄ヘラクレス (中公文庫)

随分と間隔が空いてしまいました。もうすでに一ヶ月以上も前に読み終わっており、今ではシリーズすべてを読破しています。

なぜこんなに間が空いてしまったかというと書くのもだるかったから…ではなく、面白さに圧倒されて何を書いて良いか解らなくなったからというのが正しいでしょう。面白おかしく茶化すことすらできないくらいに、その世界観にのめり込んでしまいました。
ペルセウスメデューサ討伐とヘラクレスの冒険といえば、ギリシャ神話のエピソードの中でも鉄板中の鉄板ですから、当然とも言えます。実のところ、この一冊だけを買っても十分に楽しめるでしょう。それくらい完成度の高い一冊です。

ヘラクレスてかっこいいですね。突然キレるのは怖いけど。ケルベロスすら猫扱いってどういうことよ(笑) 。個人的にはアトラスをうまく使って(騙して)黄金の林檎を手に入れたのは感心しました。一歩間違えればアトラスの代わりに一生世界を支えていかなければならなかっただろうに。いや、これはアトラスの方がうっかりさんだったのでしょうか?ケンタウロスとプロメテウスを引き合わせて二人を苦しみから救ったエピソードは軽い衝撃でしたね。 「死ぬべき運命にある」ヘラクレスこそが身代わりとして死ぬ人物だと予想していたので。

果たしてねえや(15)は本当に嫁に行ったのか?

先日、匿名diaryで「15でねえやは嫁に行き」が話題になっていましたね。あまりにも周回遅れですが、僕もついていきたいと思います。

歴史人口学で見た日本 (文春新書)

歴史人口学で見た日本 (文春新書)

人口から読む日本の歴史 (講談社学術文庫)

人口から読む日本の歴史 (講談社学術文庫)

上記の研究によりますと、江戸時代の農民の初婚年齢は意外なことに二十三歳くらい。初産年齢は二十四歳くらいだそうです。

よかった、 十五歳で嫁に行ったねえやはいなかったんだ。

と、考えるのは早計です。これは西日本の平野に限ったデータで、結婚年齢は地域によって差があります。特に顕著なのが東北地方太平洋側で、この地域は早ければ十六歳、遅くても十九歳くらいで結婚しました。

なぜこの地域は結婚年齢が早かったと申しますと「出産のチャンス少しでも増やすため」です。江戸時代の東北地方、中でも太平洋側は気候が稲作に適しておらず、人々の暮らしは本当に大変でした。その辺の事情は日本残酷物語に詳しく書いてあります…と言いたいところですが、うろ覚えなので果たして本当にこの本に書いてあったのか、この内容が正しい認識なのかイマイチ自信はありません。

日本残酷物語1 (平凡社ライブラリー)

日本残酷物語1 (平凡社ライブラリー)

わずかな記憶を頼りに、当時の生活を書きますと、こんな感じでした。

貧しい家庭では子育てをする余裕がありません。せっかく子供を産んでも共働きのため、子供の世話もできません。母親が朝の授乳を済ませると、仕事のために畑に出かけたきり日が傾くまで家には帰ってきません。泣いても叫んでも放置プレイ。その間、家を這いまわると危険なので動けないように箱の中に入れてひもでぐるぐる巻きにしておきます。おむつを替える余裕はないので箱の中には灰と藁を敷き詰めてあります。原則垂れ流しです。三歳くらいまでは箱の中に入れられるので、歩けない三歳児も珍しくはありません。夕方に両親が帰ってきますが、まだ面倒を見てもらえません。日が暮れるまでに夕食を済ませなければならないからです。食事が終わるとやっと夜の授乳です。母親は昼間のハードワークのため、乳を子供の口に突っ込むと昏睡してしまいます。この間に必死に吸いつけない子供は衰弱して死ぬだけです。運が悪ければ、泥のように眠りコケた母親が覆い被さって、翌朝には窒息死ということもあります。

田んぼに子供連れて行けよ…と心の中で突っ込みまくりましたが、それができない事情があったのでしょう。本にはなんと書いてあったかな… 。こんな生活では何人産んでもまともに育ちませんよね。人口減らさないためには五人、六人と産む必要があったのです。そのために逆算していくと、どうしても十六歳で嫁に行かなければならないのです。

話を西日本に戻しまして、二十代前半で結婚・出産した女性はその後どういった人生を送ったのでしょうか。統計によりますと、女性の寿命は四十代前半で終わります。江戸時代には五十歳まで生きる女性は少数派だったようです。男性の寿命は五十歳程度。現代とは違って男性の方が長寿でした。医学的には女性の方が頑丈にできていることは、現代では広く知られていることなのに、女性の方が短命です。その理由は出産によるダメージと考えられています。平均すると女性は生涯のうちで四人の子供を育てます。江戸時代中期以降、日本の人口はほとんど横ばいで増減はありませんでしたから、これだけ産んで現状維持でした。出産ペースは4年に一度くらいだったので、四人産むには16年(何か計算を間違えている気がしないでもないが)、 二十四歳で初産を済ませても、ほとんど一生かけて子供を産むことになります。四十歳で「女子」なんてふざけんなって話です。

さて、ここで出てくる統計データの信憑性はどの程度あるのでしょう?このデータは国民の結婚や出産を調べるためにとったものではありません。つまり、このデータは現実を反映しているとは限らないのです。戸籍と国勢調査が本格的に行われたのは明治に入ってからです。このような国家全体のデータの価値が認められたのは、ごく最近のことです。律令時代に戸籍が作られましたが、膨大な費用がかかるため長続きはしませんでした。その後、何度か調査の号令がかかりましたが、かけ声だけで実現には至りませんでした。ではどうやって調べたか?キリシタン取締りに使われた書類を基に作成したのです。どの家の誰それがどの宗派を信仰しているか、一人一人を調べてお上に報告する義務があったのです。こうやって人々はキリシタンでないことを証明しました。現在は、家全体で一つの宗派に入ることが多いですが、当時は同じ家族でも人によって信仰する宗派はバラバラでしたから、必ず家族全員の宗派を書く必要がありました。当然、家族が増えたり減ったりすれば、書面に現れますので、このデータのつじつま合わせれば結婚と出産と死亡のタイミングが分かるのです。もちろん、この計測方法には弱点があります。目的はキリシタンの取り締まりなので、乳幼児のデータがありません。当時は乳幼児の死亡率が高かったので、彼らをデータに含めてしまうと調査コストが跳ね上がってしまいます。そこで、三歳あるいは五歳までは調査対象から除外する様になっていたのです。となると、死産だけではなく、間引きされたケースについては考慮できません。もしかしたら、でてきた数字より高い出産能力を持っていて、産んだ端から間引いていたとも考えられないわけではありません。確実な手がかりでないのがなんとも歯がゆいです。こういった大がかりな調査は今を生きる人たちには迷惑千万ですが、歴史的な資料としては大変価値の高いものであります。これまでは国勢調査にはうんざりさせられてきましたが、この研究を知ってからはきちんと協力しようと考えるようになりました。

歴史人口学の世界 (岩波現代文庫)

歴史人口学の世界 (岩波現代文庫)

ところで、僕がこの研究で気になるのは少女の好奇心です。妊娠可能な年齢と結婚年齢に開きがありますが、この期間をどうやって過ごしていたのでしょう。人間はできないことをやれと言われるよりも、できることをやるなと言われる方が辛いものです。妊娠能力が備わった少女達にどうやって純血を守らせるのでしょう。避妊技術のなかった時代です。肉体関係を持てば妊娠しないはずがありません。世間体を守るために書類上は母親が生んだことにしたのでしょうか… 。そうすれば、建前の上では体面を守れるかもしれませんが、サンプルが増えればおかしい点がでてくるはずです。

性の低年齢化が嘆かれて久しいですが、ロリコンどもはそれを正当化します。

昔は十七歳にもなれば大人として性行為をしたのだから、昔に戻っただけで低年齢化などしていない!女子高生に欲情するのはむしろ自然なことだ!

というのが彼らの理屈です。しかし、このデータが事実であれば、前提から間違っているといえます。この問題に納得いく答えが出ない限り、データを簡単には信じることができません。悪い頭を精一杯回転させて出したのは「妊娠すると高確率で死亡する恐怖によって抑えられていた」という推測です。出産はリスクの高い挑戦です。安全だと思われるようになったのはごく最近のことで、四十代のおっさんなら記憶にあるでしょうが、昭和のドラマでも出産シーンには「母子ともに健康」という台詞が必ず添えられていたものです。現代のドラマでは出産するのは当たり前で、男子か女子かについて言及するのが一般的ですね。時代は変わるものです… 。当然、江戸時代には安全な出産も中絶もありません。大人たちも出産に失敗してどんどん死にます。近所の大人たちの様子を見ればそれが脅しでないのは誰にだってわかります。いかに好きな相手であっても、命を落とす恐怖の壁を乗り越えるのは容易ではなかったのではないでしょうか。

この推測が本当なら、女性の健康を守るために避妊の知識が広められ、道具も手軽に使えるように発達しましたが、それがかえって性の低年齢化を進めるとは皮肉なものですね。

ところで話の起点となったねえやですが、本当にお嫁に行ったのでしょうか。幼い子には理解できない大人の事情をわかりやすく説明すると「嫁に行った」だったのではないでしょうか。八百万の神様の疲れを癒すためのお湯屋に行ったのでなければいいのですが… 。「ゆうやけ こやけ」だけに。

マンガ・ギリシャ神話 悲劇の王オイディプス

マンガギリシア神話 (4) 悲劇の王オイディプス (中公文庫)

マンガギリシア神話 (4) 悲劇の王オイディプス (中公文庫)

話の中心は人間社会にシフトしつつあります。神様同士のいざこざは減ってきて、人間社会に神様がちょっかいをかけるエピソードが増えてきます。神話として見るなら物足りない、歴史物語としてみると胡散臭い、そんな中途半端な時代と言えるかもしれません。

うちの娘は「ちょっとつまんない」と正直に申しておりました。確かに登場人物が増えてきて、国同士の関係も複雑になってきているので難しいかもしれません。

そんな中で唯一神話らしいエピソードがエロスとプシュケの結婚です。エロスとはいわゆるキューピットのこと。これまでにも様々な恋を破局させたり成就させてきました。そんな彼が自らを射抜いてしまうとは… 。なんだかんだで二人は両思いになりますが、なにしろ相手は人間です。神様と人間の結婚を許すにはそれなりの試験が必要でしょう。ということで、彼女には「人間では到底クリアできない試練」がいくつも与えられます。プシュケは恋人エロスの助けをひっそりと借りて、すべての課題をクリアし、神の仲間になることを認められます。知ってる「それ古事記で見た」

話が硬すぎるって?いえいえ、そんなことありません。今回もちゃんとサービスタイムはありますよ。またもやアルテミスちゃんの水浴びです。もうここまで来るとしずかちゃんですね。でもアルテミスはしずかちゃんほど優しくありません。見た相手を殺してしまいますから… 。もう一つ、今度はアテナの水浴びシーン。それを見たのはテイレシアス。罰として視力を奪われます。Wikipediaに記載されているエピソードとは少し違うものの、彼のエピソードは取り上げるにふさわしい興味深い内容です。

俺の名前は高校生探偵のテイレシアス。
幼馴染で同級生の毛利蘭と森に遊びへ行って、黒ずくめの蛇が交尾する現場を目撃した。
交尾を見るのに夢中になっていた俺は背後からそれを棒で叩いてしまった…。
俺はその蛇に××され、目が覚めたら…女になってしまっていた!

出ましたよ。男が女の子になっちゃった! ジャンプのエロカテゴリに属するマンガのようなこの展開!

しかし、大変残念なことに女であった期間をどんなふうに暮らしたのかは、正確な伝承がないそうです。そこは自分の想像力で補え、ということでしょうか? 正直そこが一番詳しく知りたいところなのですが… 。

その後、彼は七年間女として暮らした後、再び蛇の交尾に出くわします。以前のことを思い出した。彼は迷わず蛇を棒で叩き、元の男に戻ったとのこと。ある日、彼のもとにゼウスとヘラがやってきます。この夫婦は「男と女でエッチの時どっちが気持ちいいか」で激しく論争していたのでした。決着がつかないので、どちらの性も経験した彼に答えを聞くのです。そこで彼は「女の時の方が十倍良かった」と答えたので論争はゼウスの勝ちとなります。これに納得がいかず腹を立てたヘラに盲目にされてしまいます。それを哀れに思ったゼウスは彼に長寿と予知の能力を与えます。こうして彼は当代一の預言者となるのです。

もう一つ取り上げるべきエピソードはオイディプスの話でしょう。コミックのタイトルにもなっているので当然か… 。心理学で言うエディプスコンプレックスの語源となっているのが彼の名前だそうです。

オイディプスの生い立ちを話にはまず父親のライオスからとなるでしょう。

オイディプスの父親ライオスはホモでした。…いや、これじゃ子供が生まれるわけないですよね。これには訳があります。アポロンの神殿で「男子を設けると殺される」と神託を受けたので、 「男同士なら子供は生まれまい」という理屈で男ばかりの相手にしていたのでした。しかし、そんな彼も酔った勢いで妻とも交わりオイディプスが生まれるのです。当然ライオスは神託を恐れて息子を殺そうとしますが、同情した家臣達に隠まわれ羊飼いに預けられるのです。

この巻は男同士の交わりがふんだんに出てきます。作者の好みだと深読みしてしまいましたが、ギリシャ神話にもこういう話は普通にでてくるようです。

息子が誕生ししまったという事実に恐れをなしたライオスはますます同性愛に走ります。それに怒ったのが結婚の女神ヘラです。結婚しておきながら妻を顧みない罰としてスフィンクスを向かわせます。次々と人間を食い殺す魔獣の登場に国は大混乱に陥ります。

一方その頃、捨てられたオイディプスは他所の国の王子となり、立派な大人に成長していました。しかし、彼をよく思わない連中が「オイディプスは実子では無い」と噂を流したので、不安になったオイディプスは神託を受けるため神殿に向かいます。そこで降りた神託は「祖国に帰ると実父を殺し、実母を犯す」でした。出生の秘密を知らないオイディプスはそれを恐れて国を捨て流浪の旅に出ます。なんという皮肉。父親を殺さないように逃げたつもりが、実父ライオスのもとに向かってしまうとは… 。偶然にも道中で二人は出会います。道を譲るか譲らないかで争いになった末、オイディプスはライオスを殺害します。

王が殺されたというのに大きな騒動にはならないのが不思議ですが、王よりもスフィンクスをどうするかの方がが重要だったのでしょう。そのスフィンクスオイディプスが退治するので、彼は王を殺したにもかかわらず、王位に就くことができます。優れた王であったオイディプスは国を安定させますが、落ち着いたことで前王を殺した犯人探しを始めることになります。

まさか自分が犯人だとは知らないオイディプスは「前王を殺した犯人は目を潰す」と宣言してしまいました。その後犯人は自分だと知ることになり、妻が母親だったことも知ることとなります。ショックで母は自殺、オイディプス王は宣言通り、自分自身を目潰しの刑を執行しました。知らなかったとは言え、オイディプスはタブー(近親相姦)を行ったので、その罪により二人の息子の判断によって追放されます。彼はテイレシアス同様、視力を失ったことで見えざるものを見ることができるようになったため、国の未来を予言します。二人の息子は王位を争うことになる。

皮肉が効いてていいですね。

賢者とは目を潰して視力をなくした人のことを言うのだと、白川静の本にはありました。 「賢」という漢字は目を指で潰して見るという意味らしいですよ。世界は繋がっているんだなぁと感じました。

その後、オイディプスの息子達は予言通りに争います。あまりに争いが激しいので王位を1年ごとに交代するというルールが生まれました。あれ、天皇家にも何年ごとに交代するルールがなかったっけ?人間やる事は大差ないですね。

マンガ・ギリシャ神話 冥界のオルフェウス

さて、やってまいりました第三巻。今回も盛りだくさん。笑いあり、涙あり、鬼畜あり、お色気あり。お兄さんにもお姉さんにも嬉しい一冊ですよ。

マンガギリシア神話 (3) (中公文庫)

マンガギリシア神話 (3) (中公文庫)

童貞暴走編

冥界の王、ハデスさん。真面目な彼はこれまで女には目もくれず、仕事一筋で生きてきました。

「男がなりふり構わず力ずくで迫るというのは情熱の表れだから、そこに女は感動するんだ」

そんな彼に冒頭からいきなりフルスロットルのアドバイスをやってくれるのがゼウスさん。いやいや、童貞の彼にいきなりそんな高度なテクを教えちゃいけないでしょう。あらあら。ハデスさんもそれを真に受けて一目惚れした女の子を拉致しちゃった。しーらないっと。

かわいそうに連れ去られた少女は冥界の王妃ペルセポネとして冥界で暮らすことになります。

引きこもり編

それに怒ったのがペルセポネの母のデメテルです。娘の拉致にゼウスまでが関わっていることに怒って身を隠してしまいます。豊穣の女神である彼女が居なくなったことで作物は枯れ、みんなが困ってしまいました。「知ってる。それ、古事記で見た」

理不尽編

続いて登場するのがエコーさん。エコーってギリシャ神話の登場人物だったんですね。

おしゃべり大好きな彼女はゼウスの良き話し相手です。しかし、楽しそうにしているとヘラに嫉妬されるので、自慢のおしゃべりで言いくるめてやろうとしたのが運の尽き。余計に怒りを買って、相手の言葉をそのまま言い返す事しか出来なくなってしまったのでした。ただの友達なのに…理不尽すぎる。

因果応報編

その彼女(エコー)は片思いの相手も悪かった。ナルシストの語源となったナルキッソスではまともに相手してもらえません。彼の冷たいあしらいをそのまま言い返してしまい、完全破局… 。悲しみのあまり山奥に引きこもってしまいます。それで、山に向かって大声で呼びかけると、声がかえってくるのですね。早い話がやまびこです。

言い寄ってくる女の子をことごとく冷たくあしらい続けたナルキッソスにも災いが訪れます。水に映る自分の姿に一目ぼれして報われない恋に絶望して水仙の花になります。これは有名な話ですね。

やらないか編

ワインと狂乱の神様ディオニュソス。大物の割に聞き慣れない名前だなと思ったら、日本ではバッカスの方で通ってるらしい。ギリシャ神話の中ではちょっと異質なエピソードに思う。

その神様が母親に会うために冥界への入り口を探している。その場所を教える見返りとして、男に差し出したのがお尻の穴…でいいのか… 。やっと出ました!男同士の交わり! これを見ずして何の神話か!

ウィキペディアを見てもそのようなエピソードがないところから、もしかしてオリジナル…ゴクリ…

サゲチン編

さて、狂乱の次は理性のアポロン君。やっぱりアポロンは女運最悪です… 。恋人のコロニスはあっさり浮気しちゃってます。それに腹を立てたアポロンは恋人を殺害。理性はどうした理性は! さすがの神様も恋心ばっかりはコントロールできない模様(苦笑)。しかし、彼女はすでにアポロンの子を宿していたので、アポロンは子供だけ助けます。

ケイローンに育てられたアポロンの子はケイローンから医学の手ほどきを受けます。後に医学の神様と呼ばれることになるアスクレピオスこそがその人です。彼は腕が良すぎて、死んだ人間の蘇生術まで習得します。それが世の中の秩序を乱すと判断され、ゼウスの電に打たれて死んでしまいます。

逆ギレ編

納得いかないのが父親のアポロン。ゼウスには逆らえないので、なぜかキュクロプス(サイクロプス)に八つ当たり。「お前がゼウスに雷の技を教えたから、こうなったんだ! 」ザコい、雑魚すぎる… 。これじゃ女も不幸になるわ。

スルー編

コミックのタイトルにもなっているオルフェウスの登場です。このエピソードは有名すぎて取り上げるまでもないでしょう。

百合編

男の中の男、ゼウスさんにも見せ場の一つくらいは必要ですよね。今度はアルテミスのお付きの娘カリストにもお手付きみたいですよ。しかし、彼女は男嫌いで処女を貫いている美女ですから、ゼウスがそのままの姿で近づいたところで警戒されて口をきいてももらえません。そこでゼウスはアルテミスに姿を変えて近づきます。こういうところは悪知恵が働くのね。これは…百合の予感(ぺろり)

と思いきや、やっぱり元の姿に… 。ですよねー。女同士じゃ赤ちゃんできませんもんねぇ。そして百発百中のゼウスさん、やっぱり妊娠です。

おっぱい編

さぁお兄さんお待ちかね。今回一番のサービスタイムですよ!

永遠に処女であることを誓ってアルテミスの従者にしてもらった約束もあってカリストは妊娠した事を打ち明けられません。苦悩が続いたある日…アルテミスから水浴びを誘われます。

おおおご褒美ご褒美、アルテミスたんのおっぱいおっぱい!

断り切れずに脱いだ彼女のお腹は明らかに妊婦のそれでした。アルテミスから破門された彼女に追い打ちがかかります。ゼウスの浮気に嫉妬したヘラによって熊の姿に変えられます。これは可哀想。彼女は何も悪くないやん… 。

近親相姦編

フェニキアの姫はたいそう美しく、日ごろからアフロディテよりも美しいと自慢しておりました。その噂がアフロディテの耳に届き、美の女神に対する挑戦とみなされて報復を受けることになります。姫が受けた罰とは「父親への恋」でした。彼女は自分の思いを遂げるため、顔が見えないように父親に近づき、契りを交わします。後日、その行為は父親にばれてしまいます。

自分の娘と交わったとなれば王としてのメンツが丸つぶれになってしまいます。父は娘を許すことができずに殺そうとしますが、彼女は逃げます。彼女は既に父親との間に子を宿していました。

ショタコン

結果生まれるのがアドニスです。たいそうかわいい赤ちゃんだったので、アフロディテに拾われます。そんなに気に入ったのなら自分で育てればいいのに、わざわざ冥界まで連れて行きペルセポネに預けて育てたせます。

やがて彼は美しい少年に育ちます。少女漫画家だけあって、かわいい少年を描き慣れているのかな?おっさんが見ても愛らしい男子です。プライドの高いアフロディテまでがぞっこん。どうやら彼女はショタコン?一緒に暮らそうと試みます。ペルセポネも血は繋がっていないとは言え、大事に育てた立派な我が子を手放したくありません。両者とも互いに譲らず、裁判に持ち込まれます。そこで裁判官は「双方子供の手を引き、最後まで離さなかった方が母親だ」とは言いませんでした。残念… 。

てごめ編

最後に登場するのは、狩人のオリオンくん。確か彼って棍棒を振り回しながら荒野を疾走しているマッチョマン…のはずなんだけど、なぜかお父さんは海の神様ポセイドン。野獣退治の見返りに美女を要求して早速無理矢理押し倒しているし。

ずいぶん乱暴な男だけど、じゃじゃ馬のアルテミスが彼に恋模様… 。彼女の恋心に感づいたマジ小物のアポロン君が、そこに横槍を入れます。結局、アルテミスはオリオンを丸太と間違えて弓で射殺してしまうんだとさ。

番外編

アポロンとアルテミスといえば、ナムコシューティングゲームフェリオス」ですよね。僕はこのゲーム結構やったこともあって、二人は恋人の関係だとすっかり勘違いしていましたが、双子の姉弟なんですよね。危ない危ない。今更ながらに思い返してみればアルテミスのイメージも本来のそれと全く違うし、アポロンはペガサスに乗ってないし。なんで勘違いしてなんでしょうね。こういうこともあるから、ちゃんと原典は押さえておかないといけないですよね。

もう一つ気になったのがヘカテです。
古代ギリシャでも十字路は悪霊が行き交う禍禍しい場所であったらしい。犯罪が起きないようにヘカテの像を置いたようだ。白川静が提唱する古代中国の宗教観でも道路や交差点は除霊すべき恐ろしい場所であると定義されてましたね。こんなところにも共通点があるとは意外でした… 。

マンガ・ギリシャ神話 アポロンの哀しみ

だんだん神が人間界に降りてきます。人間とまじわって英雄を産んでその子は各地の国王になっていく段階です。古事記にも同じ流れがありますね。ゼウスは調子こいてやりたい放題なので。ギガンテスやデュポンが襲ってきます。激しい戦いが起きるので、少年漫画ならお得意のバトルモードに入るのですが、わりとゆるーい描写で終わっていきます。てゆうかこのギガンテスやる気ないだろ。まあバトルアクションには期待しないように。

マンガギリシア神話 (2) (中公文庫)

マンガギリシア神話 (2) (中公文庫)

さて、タイトルにもなっているアポロンですが、超絶イケメンでモテモテです。しかし、彼は下げマンならな下げチン。好きな相手は女も男も不幸になります。さすがイケメン!どっちもいけるのか… 。これはお姉様方へのサービスタイムですね。

一方、お兄さん向けのサービスタイムを提供してくれるのはヘパイストスです。彼はゼウスとヘラの間に生まれた長男なのですが、見た目は悪く足も不自由な形で生まれたのでヘラが嫌って育児放棄したので、他の神の下で育てられたのでした。かわいそうなヘパイストス。生みの母に「私あんなみっともない子を産んだ覚えは無いわ」と言われる始末。子供の頃からこんな調子で疎まれて育ったヘパイストスですが一つだけ誰にも負けない特技がありました。手先が器用で何でも作ってしまうのです。生活に必要な便利な道具を次々と生み出したので、一部の神からは重宝がられて才能を認められました。そんなところから嫌な目に遭うほど自分の工房に引きこもりがちになり、もの作りに熱中するのでした。生まれつき足の悪い彼はその分野で認められる以外に生き延びる道はなかったのです。他人事とは思えなさ過ぎる… !

そんなヘパイストスですが、母親にだけは認めてもらいたくて一悶着起こします。その過程で売り言葉に買い言葉から会心の一撃が飛び出します。みんなのアイドル、アフロディーテとの結婚が決まるのです。おい、お前ら!世の中意外と言ったもん勝ちだぞ。

美の女神と一緒に暮らせるとあってヘパイストスは浮かれますが、無理矢理結婚を決められてしまったアフロディーテは納得していません。夜の仕事をあの手この手で引き伸ばし、どうせ抱かれるならと軍神アレスと不倫してしまいます。うわー寝取られた(笑)やはり「俺ら」にはそれしかないのか。おせっかいなことに、二人の密会を目撃した他の神が、そのことをヘパイストスにほのめかします。なんでそんなおせっかいなことをすんねん。

ヘパイストス罠を仕掛けて浮気現場に踏み込みます。彼はベッドに細工を施し「ギシアンが始まると上から網が降ってくる」ようにしておいたのです(まさに一網打尽) 。見てしまった、決定的事実… !こんな証拠がでてしまっては夫婦としてやっていく事は不可能なので、渋々慰謝料を受け取って離婚が成立するのでした(童貞のまま)。

傷心のヘパイストスはますます引きこもりがちになり、ものづくりに励みます。そこに現れたのがアテナイでした。勝利の女神アテナイは日夜勝利のための努力に余念がありません。彼のものづくりの腕を見込んで新兵器の開発を依頼しに来たのです。バツイチ童貞の欲求不満が爆発したのか、こともあろうに仕事の見返りとして「一発やらせろ」を要求します。プライドの高いアテナイがそんな頼みを聞くはずもなく、抱きついてくる彼
を足蹴にして逃げまわります。哀れヘパイストス、足の悪さ故になすすべもなく敗退、無謀とも言える告白も失敗に終わった…かのように見えましたが奇跡が起こります。アテナイの足に正体不明の液体が粘り着いていたのです(さすがヘパイストス、俺たちにできないことを平気でやってのける!そこにしびれるあこがれるぅ) 。あまりのおぞましさんにアテナイは謎の付着物をそそくさと拭い取って捨てると、あら不思議、そこから何かが生まれます。やったぞ!ヘパイストス! 見事アテナイに子供を産ませた!これでお前も立派な親だ(童貞のまま) !

そこで生まれた子は成人するとアテナイの王になります。そこに至る経緯はこんな感じです。アテナイに住んでいた人間は自分たちが守護神を求めました。そこで、神々の中からアテナイとポセイドンが立候補したのです。アテナイは自分を守護神として選んでくれれば見返りとしてオリーブを与えることを約束し、ポセイドンは塩を与えることを約束しました。人々は海が近いので塩は取れることに着目しアテナイを選んだのです。そして女神との関係を一層強化するために彼女の子供を婿として迎え、町の名前をアテナイとしたのです。

人間が神様を選ぶという発想はユニークですね。それにしてもこの話は奥が深い。アテナイ市民のルーツをたどると母はアテナイ(処女) 、父はヘパイストス(童貞) 、その両親はゼウスとヘラ。堂々たる血脈。身持ちが固く努力家で頭が良い家系だということです。

この巻はタイトルこそアポロンに譲っていますが、堂々たるキャラの立ちっぷり。ゼウスに勝るとも劣らない存在感、ヘパイストスこそ、影の主役と言えるんじゃないでしょうか?

マンガ・ギリシャ神話 オリュンポスの神々

なんだか古事記に似ていますね。作中でも古事記との関連についてコラムが書かれています。権力闘争が起きる時に勝つのはどうして弟なんでしょうね?兄より優れた弟などいないはずなのですが… 。

権力闘争といえば、親と子の世代間闘争もあります。親の力が年老いてくると子供は親を倒しに来ます。人間なら親が死ぬのを待っていれば即位できますが、神は死なないので倒すしかないんですね。権力を持った男は子育てに興味はなく、飽きた女も捨ててしまうので、母と子にそろって恨まれるのが下克上の構図です。権力者もこれが分かっているので、子供が生まれないように見張ります。しかし性欲は抑えられないので、あちこちで女を孕ませてしまうわけですよ。しかも生まれてしまうと、それは神だから殺す事は不可能なんですね。だから子供が生まれると母親から取り上げて、ガブリと食いつき、飲み込んで身体の中に幽閉してしまうわけです。こういう親子喧嘩は、古事記にはありませんね。

神々の誕生も古事記と同じように、一組の夫婦から生まれていきます。普通に出産するケースもあり、体の一部が分裂して生まれるケースもあり、ものすごい勢いで増えていくのですが、基本は一組の夫婦から生まれるので、第一世代から第二世代まで近親相姦を繰り返すのですね。ギリシャ神話には数々のモンスターが存在しますが、彼らはそういった事情から生まれてるのでしょうか?

固い話を抜きにすると、この巻の一番の見所は「アフロディーテの誕生」でしょうか。はい間違いありません。美の女神による惜しむことないフルヌード(幼女バージョン含む)のサービスカット満点のエピソードです。(そこかよ… )

ここから先はネタバレも含みますが、自分用の覚書も兼ねて印象の強かったエピソードをいくつか紹介します。

ケンタウロスの出生の理由はこの漫画で初めて知りましたね。父親はゼウスの父クロノスなのですが、ある日、彼は散歩中に美女を見つけます。ムラムラすれどもヤッてしまえば子供ができる、子供ができればやがて地位を追われる。彼は悩みますが、そこででた夢の解決法が獣姦です。「身元がバレなければ子どもの逆襲を恐れることもない。」「そうだ馬に化けよう。俺は馬だ。クロノスじゃないぞ。」こんな理屈で馬に変装して襲うのです。絵に描いたような鬼畜ですやん。ストッキングをかぶった強姦魔と何ら変わりは無い卑劣漢。こうやって生まれたのが、半人半馬のケイローンです。

クロノスと似たり寄ったりの鬼畜がその子のゼウスです。彼はヘラの美しさに心奪われ何度も言いよりますが、プライドの高い彼女は相手にしません。簡単に落ちそうにない相手に余計にやる気を燃やした出したゼウスは一計を案じます。彼は小鳥に化けてヘラの下に舞い降りて寂しそうに振舞います。彼女はその小鳥をゼウスだと気付かずに「かわいそう」と優し抱きしめると、ゼウスはしめたとばかりに人間の姿に戻りヘラを押し倒します。さすが親子、発想はクロノスと似たり寄ったりです。先っちょまで入れられて大ピンチのヘラは慌てて言います。「ちょっと待って!こうなったら好きにしていいから、お願いだから〇〇だけはして… 」と懇願します。「よっしゃ! ○○さえすればやらせてくれるのか。合点承知! 」とゼウスが応えたので「結婚」が成立します。こうやって生まれたのがヘパイストスです。彼はギリシャ神話の中でも相当キャラ立っているので、ぜひとも取り上げたいところですが、彼の見せ場は第二巻なのでそちらに回すとします。


人間を創ったのプロメテウスだったんですね。火を盗んで人間たちに与えて磔になったことまでは知っていましたが、その人間を造ったのが彼だとは知りませんでした。プロメテウスは土と水を混ぜてこねあげた泥で自分そっくりの人形つくりました。それを見て面白がったゼウスが息を吹きかけると命が与えられて動き出します。こうやって人間は生まれました。プロメテウスは人間の世話が楽しいらしく、弟と一緒に人間エリアで人間達と暮らします。やがて人類は発展を極めますが、食糧不足が社会問題化します。そこでプロメテウスは人類の食糧を確保するためにゼウスをペテンにかけて、牛肉は人間の食べ物であることを約束させます。人類は餓死の危機から逃れたものの、今度は炎を取り上げられてしまいます。この苦難を救うためにこっそり炎を与えますが、それをゼウスに咎められ、罰として磔の刑を受けます。プロメテウスは人類の世話を弟を託したのでした。

次々と苦難を乗り越えていく人類にゼウスが放った次の刺客は「女」でした。なんでわざわざちょっかいかけるんだよ…(人類が発展しちゃ)いかんのか?

この頃の人類にはまだ女はいません。なぜなら彼らはプロメテウスのコピーだったからです。ゼウスが言うには、俺は女房の尻にしかれてるんだからお前らも女の尻にひかれてみやがれ、ざまぁみろ!といった理屈なのですが、どちらかと言うと褒美ですよね!?

ただし、刺客は手ぶらではやってきません。何やら得体の知れない匣(はこ)を「絶対開けるな」と言われて渡されます。そう、彼女の名前はパンドラ。人類エリアで人間達と暮らすプロメテウスの弟に嫁入りしたのが彼女です。パンドラは人類から見れば、王妃のようなものです。「仕事などしなくても家にいてくれればいい」と言われますが、やることのないパンドラは退屈すぎて匣の中身が気になり出します。結局「開けてはいけない」という誘惑に勝てずに開けてしまいます。中に入っていたのは人類が抱えるネガティブな感情と苦しみたちでした。そのために人々は妬み争い騙し合うのです。しかし、たった一つ、ポジティブなものが入っていました。それは「希望」です。

なんか希望があるからこそかえって苦しいような気がしますが…それも罠の一つですかね?開けるなと言われると開けたくなってしまったり、無駄な時間があるとろくなことをしないとか、人間の深い業がそこにありますね。しかし、リンゴを食べてしまったイブと同様、ヨーロッパの神話の女は何かとやらかします。ゼウスに限らず、男の神は女神を子作りのための道具としか見ていない節がありまし、多分に女性蔑視の思想があるんですよね… 。