第四十章 反者は道の動なり。

原文

反者道之動。弱者道之用。
天下萬物生於有、有生於無。

訓み下し文

反者(はんじゃ)(みち)(どう)なり。(じゃく)(みち)(よう)なり。
天下(てんか)万物(ばんぶつ)(ゆう)より(しょう)じ、(ゆう)()より(しょう)ず。

解釈

道の動きは無に帰っていくものである。弱いものは道に使ってもらって助けられるものである。

世の中には様々な物があるが、これらすべてがそこに有るからには「生まれた」のであるが、それは何も無いところから生まれるから有るのである。

備考

世の中は突き詰めて考えれば「ある」と「ない」しかない。それが「動き」を持って変化するなら、「有る」は「無い」になる以外になく、「無い」は必ず「有る」となる。第四十一章にある通り、道が無から有を生み出す力を備えているならば、やはり有を無にする力も備えているのだろう。
道が無から生み出した有(一)を徳が養って二、三、万へと増やす。徳が第二十一章のように道に従うなら、やはり三から二、二から一へと減っていき、無になるだろう。だから弱は道に助けられ、強は道に減らされるのである。

ヒント


反者(かえるもの)

弱へ返る者。
無への回帰


(おいて)

〜(場所)において。
に。日本語では「に」と送り仮名を振るだけで意味はない。

熟語(4種/4回)

天下 萬物 弱者 反者

文字(15種/21字)

ルビ無版下し文(コピペ用)

反者は道の動なり。弱は道の用なり。
天下万物は有より生じ、有は無より生ず。