方丈記 マンガ古典文学シリーズ

無事にギリシャ神話シリーズを読破したということで古事記の漫画を探していました。

古事記 壱: 創業90周年企画 (マンガ古典文学シリーズ)

古事記 壱: 創業90周年企画 (マンガ古典文学シリーズ)

古事記 弐: 創業90周年企画 (マンガ古典文学シリーズ)

古事記 弐: 創業90周年企画 (マンガ古典文学シリーズ)

またまた、里中満智子先生ですね。やはりおさえるジャンルは幅広い。この手の作品は時代にあわせて絵柄を変えていかなければならない上にドル箱になる見込みが少ないということで、大物作家が名誉職的な意味合いで挑戦することが多いようで、古事記についてはこれまでも名だたる大物達が描いています。お気に入りの作家が挑戦していないが、探してみるのも面白いかもしれませんね。

この二冊をポチりかけたのですが、その前に、こちらが目に入ってきまして…

方丈記: 創業90周年企画 (マンガ古典文学シリーズ)

方丈記: 創業90周年企画 (マンガ古典文学シリーズ)

これは読まずにはいられないでしょう。え、これがどんな作品かって?何の自慢にもなりませんが、古典の授業を睡眠時間としていた私にとって方丈記鴨長明どちらも全く無縁の存在で、どんな話かは全くわかりません。日本史の授業でも同じように寝ていたので、どの年代のどのような時代背景であったのかもわかりません。

名目上は「子供に古典を読ませるため」に購入するわけで、子供が読んでくれることを前提としています。この作者なら「ゲゲゲの鬼太郎」つながりで興味を持ってくれるかもしれないし… 。しかし、題材はあまりにも地味すぎて少々不安なところもあり… 。子供の頃の自分だったら間違いなく見向きもしないだろうからな… 。

購入後、早速子供に渡してみましたが、予想通りというか、これがびっくりするほど読まない… 。ページをめくる以前に、表紙の「古典」という文字を見ただけで拒絶反応を起こして「私は歴史とか古典て苦手なんだよねぇ」とか言い出す始末。何を言っているんだ…お前の持っている本の大半は歴史と古典なんだが… 。そんなこと言われたら買う本がなくなっちゃうじゃん… 。ヒアリングを行った結果、日本史と日本の古典は苦手らしい。登場人物が似たような漢字ばかりで名前の区別がつきにくいあたりにとっつきにくさがあるようです。あとここは重要な問題なのですが「イケメンが出てこない」のもマイナスポイントらしい。

仕方がないので、自分だけで読むことにしていましたが、これは確かに小学生は無理だ… 。むしろこの世界観に心打たれて没頭するような小学生がいたら嫌すぎますわ。鴨長明現代社会のニートそっくりじゃないですか?「働いたら負け」と言いながら上から目線で社会を批判するブロガーとやっていることがほとんど変わらないですよね。時代背景もなんとなく似ているし、すごく痛々しいんですけど。

巻末には、原文が掲載されています。これを読む限り確かに歌のセンスはありますし、言い回しも上手ですから、内輪ウケはしたでしょうね。本体の漫画よりも魅力的で引き込まれる完成度ですから。本体の漫画は時代背景を押さえるための参考文献程度に考えておいた方が良いかと思われます。あくまで作品は日記風なので、話のオチもありませんし、盛り上がる部分もありません。普通の漫画と同じような気分で読んでしまうとがっかりすることになるでしょう。方丈記には時代背景や社会情勢については全く触れられていませんから、それを補足するために漫画にした本だという前提で読むべきですね。結果的には漫画と巻末の原文を交互に読んでいく形になるんじゃないでしょうか。

世界観は荘子に似ている、と言えばいいでしょうか。世の中の無常を飲み込んで絶対的な精神世界に生きる場所を求めるといった感じですか…決して嫌いではありません。老子は大好きですし。