始皇帝ビジネススクール

大昔の中国には始皇帝という天才がいました。
彼は天才です。なにしろあれだけ乱れていた中国を統一したのですから。
天下統一までに至った要因はいろいろ考えられますが、今回はその一つであろう公務員制度改革を利用した儲け話のお話をしましょう。

始皇帝は中国の社会において、いや人間社会において重大な法則を発見します。

・人は自分の利益が最大化するように行動する

そこからさらに考えを掘り下げて次のことを導きます。

・中国の社会で最も楽に利益を得られる方法は、役人になって賄賂をもらうことである。
・人は役人になりたがり、役人になれば必ず汚職を行う。
・欲深い人間がいる限り、役人をどれだけ痛めつけようとも世の中に役人のなり手が役人がいなくなることはない。


そこで人々の持つこのような特性を利用して、始皇帝公務員制度改革を実施したのです。

第一に、役人が立場を利用して賄賂などを行った場合、厳罰(罰金)を受けるという法律を作成したのです。たとえわずかな罪であっても厳しい罰を受けるという話であれば、慎重な人わざわざリスクを負ってまで犯罪を行いません。役人が汚職をしなくなれば、それは国民の利益なのだから世論は歓迎します。世論の後押しがあれば政権は安定し、国が落ち着けば税収は上がります。仮に役人が汚職を止めなかったとしましょう。その場合、悪代官が摘発された上に多額の罰金が国庫に収められるので、始皇帝の利益になります。結局どちらになっても利益が得られる仕組みです。

しかし、このやり方には抜け穴があります。それは

・たとえ汚職をしても、ばれなければ罪にならない

ということです。当たり前のことですが、賄賂が重罪になれば、どの役人も隠れて悪事を働きます 。賄賂がどれだけ重罪になろうとも本当の悪人には全く関係なく、うまく犯罪を隠し通せる悪者ほど有利になります。これではかえって世の中が悪くなってしまいます。

そこで

・密告に報奨金を出して悪事は必ず捕まるようにした

のです。悪事を働くよりも密告した方が楽に儲かるのなら、人々はこぞって密告をします。賄賂を要求されて困った庶民や、相手を蹴り倒して出世をしたい同僚など、たくさんの人の耳目に囲まれれば、どれだけ悪知恵が働く者でも隠し通せるわけではないのです。あらゆる人が褒美を目当てに汚職をしている役人がいないか目を光らせます。

これで完璧です。世の中から汚職をする役人がなくなるはずです。まぁ他にも汚職をさせないためのテクニックがいろいろあるのですが、細かい話は今後に回すことにします。

その結果、役人たちはどうなったでしょう?

何も変わりませんでした

始皇帝が想像したよりもはるかに人々は欲望に忠実だったのです。役人は、たとえ汚職をしたとしても自分だけは捕まらないと考えたのでした。しかし密告制度も有効に働いていたので、国民達も自らの欲望を発揮して次々と汚職を密告していきました。その結果、摘発された役人たちが支払う「罰金」という莫大な資産が始皇帝のもとに転がり込んできたのです。

それと同時に囚人たちが大量に発生したので巨大な労働力も手に入りました。
それらの資源を利用して建築されたのか万里の長城です。他にも阿房宮という巨大なハーレムを建築して、そこに罰金を払い切れずに破産した役人たちの妾たちを預かってウハウハしたりしましたとさ。

※もちろんこの話は大変一面的なものですから、半可通の人間の言うこと真に受けないように(笑)

さて、時は2300年ほど降って21世紀の日本の話になりますが、そこには始皇帝と似たようなことをしている人がいました。仮にAさんとしておきましょう。
Aさんは2つのことに目をつけます。

・少女は素敵な恋が出来るように行動する
・素敵な恋が出来るからこそ、アイドルになりたがるものである

つまり、「年頃の少女は恋をする宿命にあるのである」ということです。
そこでAさんは少女が恋をすることに対して厳則を化しました。年頃の少女が恋を止めることができないことを知っていてです。あらあら、恐ろしいですね。
その結果どうなったでしょう?クリーンなアイドルユニットが誕生したでしょうか?