原文
谷神不死、是謂玄牝。
玄牝之門、是謂天地根。綿綿若存、用之不勤。
訓み下し文
谷神は死せず、是を玄牝と謂う。
玄牝の門、是を天地の根と謂う。
綿綿として存するが若く、之を用いて勤きず。
解釈
川の神様は死ぬことなく活動を続ける。これを女性の神秘的なはたらきという。
この神秘的な女性のはたらきを生み出す門こそが、天と地のルーツだ。
ほそぼそとした流れだが、どれだけ汲み出しても尽きることはない。
備考
これだけ読むとわけがわからない。ただファンタジックな世界観だけでしかない。詳しいことは谷-低いところへにあるが、初めて読む人は「谷は偉大だ」とだけ覚えておいて飛ばすのがいいかもしれない。
この章が言いたいことは、女が子供を生んできたからこそ、命のリレーが続いてきたこと。
玄牝は不思議な女性の力。女性器を谷に重ねて、出産と考えていいのではないか。
彼方に見える山脈の頂上と空の境目が天地の根。谷神である玄牝の門は河の源流といったところか。そこから水が流れてくる水は天地がなくならないかぎり尽きることはない。
老子は母性を大切にしていて、谷を母性のシンボルとして表現しているようだ。ちなみに孔子は山を愛した。
ヒント
玄(神秘的な。奥深い。)と
牝(めす。雌。)
さらに
門で
玄牝の門。これは女性器を指す。女性だけに備えられている出産能力の神秘性を現している。
ほそぼそとした様子
谷の
ありさまを神格化したもの。
世間一般では
天地人と言われるものが、
第三十九章で天・地・神・谷・萬物・侯王の順に出てくる。天地神谷に寿命はないけど、万物侯王にはあるって話に見えなくもない。
→
谷-低いところへ
出入り口。
目鼻口耳の穴。女性器。心への出入口として頭脳も含む。
川のこと。
中国ではたびたび川の流れが変わるので空っぽの谷でも川と同じ扱いなのかな。
植物の根。
根本。基礎。
始まり。ルーツ。
尽くす。
労(つか)れる。
ルビ無版下し文(コピペ用)
谷神は死せず、是を
玄牝と謂う。
玄牝の門、是を天地の根と謂う。
綿綿として存するが若く、之を用いて勤きず。